2015-08-24(Mon)

「今戸焼 白井」 丸〆猫と河童

今戸焼というものをご存知でしょうか?
食べ物ではありませんよ。
十六世紀の初期、浅草今戸で素焼きの土器として始まり、江戸の繁栄とともに栄えた焼き物のブランドです。
しかし、明治中期に50軒余りあった窯元も、需要の減少に伴い職人がいなくなった上、震災や戦争を契機に、現在では台東区内に残るのは1軒のみだそうです。

ところで、今戸焼と聞いた時、多くの猫グッズファンが思い浮かべるのは「招き猫の元祖」というキーワードではないでしょうか。
招き猫の元祖には諸説あり、どれが本当かは今や分かりませんが、今戸焼は、絵や出土品が証拠として存在する点で、もっとも有力な「招き猫の元祖」と云えるかもしれません。

たとえば、嘉永年間の下の版画。



拡大すると、遊女らしき女性に、招き猫を売る商人が描かれており、提灯には丸〆の文字。
丸〆は、今戸焼の招き猫のお尻に描かれるマークです。


先に現在、台東区に残る今戸焼の窯はひとつだけ、と書きましたが、それが白井清次郎(1825~1898)を初代とする、六代目の白井裕一郎氏の「今戸焼 白井」です。

宝来文庫は、以前から白井さんの招き猫をゲットしたいと目論んでいたのですが、のびのびとなっていて、今回、はじめて工房にお邪魔することが出来ました。
でも、第一目的は招き猫ではなくなっています。
宝来文庫が「谷中ミストの会」レーベルで発行している不思議体験談本「ミスコレ!」。
8月22日の日の編集会議で、次の特集は「妖怪」でと決めた夜、たまたまネットで調べていたら、今戸焼に「河童」があることが分かりました。


下が、本日入手した、その写真です。
スカイツリーと隅田川を背景に、黒くて丸っこいのがいます。
これが六代目白井さんの「河童」です。
可愛いというのもありますが、何より不気味な存在感。
傑作だと思いました。



というわけで、やってきました、「今戸焼 白井」。



ご夫婦でやっておられて、全国からの発注に、生産が追い付かないようです。
ここに並んでいるのは、いわば見本品で、好きな物を選んで買える訳ではありません。一部の在庫のあるもの以外は、予約の形になり、物によっては1年待ちなどもあるようです。
残念ながら、河童は在庫がありませんでした。



写真の左上のお雛様(?)の台の下に、河童が一個だけ隠れているのですが、覗いてみたら、やはり素晴らしい!
予約をし、次の製造を待つことにしました。



でも、運よく一番人気の丸〆猫は買えました。
あと、羽織狐も。



お尻には、丸〆マークと今戸焼の刻印があります。



これら二つをオリジナルの紙袋に入れてもらい、ほくほく顔で帰る前……

白井さんご夫婦と色々お話しが出来ました。
河童は人気があり、河童好きの方がよく注文されるんですよ、とのこと。
納得です。河童好きなら、これはマスト・アイテムでしょう。

お話の中で、宝来文庫が弁天好きな旨を明かしましたら、ふいに奥さんが、「千駄木にも弁天さまが祀られているでしょう」とおっしゃいました。関東では弁天さまは人気者。どこに祀られていても不思議ではありませんが、この辺の弁天さまなら、不忍池、浅草寺、あと隅田川つながりで長命寺の弁天さまを話題にするのが普通。
なぜに、千駄木??
というより、弁天好きを自称しておきながら、宝来文庫、千駄木に弁天さまがおられることを知りませんでした。
そう、千駄木です。それも、わが「谷中ミストの会」が月イチで集まり、不思議話会をやっている場所のすぐ近くでありました。

ああ、これは……
「日本で唯一の弁天作家などとブチ上げておいて、なぜお前はあいさつに来ないのじゃ?」と叱られたのではないか?
「行きたいです」と云うと、ご夫婦は地図を下さり、熱心に道筋を教えて下さいました。

こういうのも、縁起物、怪異を探求しているうちに出会う、不思議な縁だと思います。




そのまま千駄木へ。弁天さまが祀られている公園に向かいました。



社の扉は閉まっていましたが、その前で手を合わせます。
「次、妖怪特集とかやりますけど、温かく見守って下さい。不謹慎には扱いません」



あ、来週、お祭りやるみたいですね。
すごく行きたいけど、その日はコミティア113で、出来たばかりの「ミスコレ!2015(特集:仏壇の怪)」と「東京弁天シリーズ「東京駅のアヤメさま」を頒布に行かなくてはなりません。



「あ、これが新刊2冊です。どーぞ、よろしく」と心の中で念じます。





帰り道、いつもミスト会の会場に使っている近辺を散策していて、前から気になっていた洋食屋さんに入ってみました。


レトロな外観にひかれていたのですが、出てきた料理がまた絶品!!
懐かしい、古き良き昭和の洋食の味!
下ごしらえも完璧な職人技のオムライスとナポリタン。
これは美味いですよ。
お近くに来られた時は、ぜひ入ってみて下さい。





(おまけ1)

白井さんの奥さんが描いた工房作品の絵葉書。奥さんは元デザインのお仕事もされていたようです。




(おまけ2)

ぜんぜん関係ないのですが、ずいぶん前に川越の骨董市で買った蚊取りブタ。昭和初期ころのモノ?
これも今戸焼なのかな…… とか思いつつ、風情が気に入って、ずっと飾っています。

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プロフィール

宝来

Author:宝来
大和かたるの同居猫
年齢 9歳
性格 へたれ、人見知り
職業 宝来文庫の看板息子

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